Vol. 2019
静けさの中に、本物の輝きを
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町15-3

Resonant Stone Hollow

— Issue Nº 19 —
— Cover story —

石の声を、身につける夏

Resonant Stone Hollowは、採掘地から直接選び抜いた鉱石と、京都の職人による手仕事を組み合わせたジュエリーブティックです。夏の光の下で、石が持つ本来の響きを感じてください。
Resonant Stone Hollow
— In this issue —
— A feature —

石と向き合う場所

中村 葵Resonant Stone Hollowを開いたのは2019年の秋、京都・岡崎の路地の奥にある小さな町家でした。それ以前の10年間、彼女は東京の大手宝飾商社で調達担当として働き、年に数回スリランカやマダガスカルへ渡航していました。産地で石を選ぶたびに感じていたのは、採掘地の光と空気の中で見る石と、ショーケースの蛍光灯の下で見る石の、あまりにも大きな違いでした。「石は環境で変わる。だから、石が正直でいられる場所を作りたかった」と彼女は言います。

2020年の春、パンデミックで予約がすべてキャンセルになった週に、彼女は田中工房の三代目・田中誠一と初めて長い時間をかけて話しました。「あの春がなければ、今のオーダーメイドの仕組みは生まれていなかったと思う」と中村 葵ります。二人は翌月から、石の形に合わせてセッティングを後から設計するという、通常とは逆の制作プロセスを試し始めました。最初の三点は失敗でした。石が枠に収まらず、やり直しに六週間かかりました。その失敗が、今の「石の記録カード」を作るきっかけになりました。

— Letter from the editor —

A note before you go

中村 葵、東京の大手宝飾商社で10年間、調達担当として勤務した後、2019年に京都・岡崎でResonant Stone Hollowを開業した。スリランカ、マダガスカル、ブラジルへの渡航経験を持ち、産地での石の選定を専門とする。前職では年間200点以上の原石調達を担当し、GIA(米国宝石学院)の修了資格を持つ。休日は岡崎疏水沿いを歩くことと、古い鉱物図鑑を集めることが習慣で、現在の蔵書は300冊を超える。「石の声を聞くには、まず自分が静かになる必要がある」が口癖。

— 中村 葵
Editor
12点
今夏コレクションの制作点数
7回
年間の産地渡航回数(スリランカ・ブラジル・マダガスカル)
2019
京都・岡崎での開業年
6〜10週
完成まで平均週数(オーダーメイド)
商品一覧

おすすめ

2026年夏のコレクションは、光の屈折をテーマに12点を制作しました。スリランカ産のブルームーンストーン、ブラジル産のパライバトルマリン、マダガスカル産のラブラドライトを中心に、夏の光の中で最も表情が変わる石を選んでいます。すべて一点制作のため、売り切れた作品の再制作はお受けしていません。

ブルームーンストーン リング(夏霞)

ブルームーンストーン リング(夏霞)

スリランカ・ラトナプラ産の6.2カラットのブルームーンストーンを、18Kホワイトゴールドのオープンセッティングで留めています。石の内部で光が揺れる「アドゥラレッセンス」が、夏の朝の霞を思わせることから「夏霞」と名付けました。田中工房が爪の角度を0.3mm単位で調整し、石の光の動きを最大限に引き出しています。

¥148,000
パライバトルマリン ネックレス(深海)

パライバトルマリン ネックレス(深海)

ブラジル・パライバ州産の1.8カラットのトルマリンを、22Kゴールドの手打ちチェーンに合わせています。ネオンブルーとグリーンの間を揺れる色は、産地の地下水脈の色から来ていると現地の採掘者が話していました。チェーンは田中工房が一コマずつ手で繋いだもので、長さは42cmです。

¥228,000
ラブラドライト ブローチ(夕映え)

ラブラドライト ブローチ(夕映え)

マダガスカル・アンタナナリボ近郊産の大判ラブラドライトを、シルバー925のフレームに収めたブローチです。石の表面を覆うラブラドレッセンスは、角度によって青から橙へと変化します。夏の夕暮れ時、屋外で着用すると石の色が最もよく動きます。留め具はフランス製のダブルピン式で、薄手の夏素材にも安定して留まります。

¥98,000
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Resonant Stone Hollowが大切にしていること

産地直送の原石

スリランカ、マダガスカル、ブラジルの採掘地と直接契約し、中間業者を介さずに原石を仕入れています。石の来歴が明確であることが、私たちにとっての出発点です。

京都の職人との協働

西陣の金工師・田中工房と2019年の開業当初から組んでいます。ロウ付けから研磨まで、すべての工程を田中工房の職人が手作業で行います。

一点制作の原則

同じデザインでも、使用する石は毎回異なります。石の形と色に合わせてセッティングを微調整するため、世界に一つの仕上がりになります。

静かな試着体験

ご来店は完全予約制です。一組ずつ、ゆっくりと石と向き合う時間をご用意しています。BGMも照明も、石の色が正確に見える環境に整えています。

お知らせ

お知らせ

2026-06-20

ブルームーンストーンのアドゥラレッセンスとは何か

ムーンストーンを手に取り、角度を変えると、石の内部で青白い光がゆっくりと動きます。この現象を「アドゥラレッセンス」と呼びます。宝石の光学現象の中でも、アドゥラレッセンスは特に説明が難しく、実際に石を見ないと伝わりにくいものです。ここでは、その仕組みと、産地によってどう違うかを整理します。

続きを読む →
2026-05-15

パライバトルマリンの産地と色の違いを知る

パライバトルマリンは、1980年代にブラジル・パライバ州で初めて発見されたトルマリンです。銅とマンガンを含むことで生まれるネオンブルーとグリーンの色は、他の宝石では見られない独特のものです。現在は西アフリカや東アフリカ…

2026-04-25

アレキサンドライトはなぜ色が変わるのか

昼の光の下では青緑に見え、白熱灯の下では赤紫に変わる。アレキサンドライトの変色は、宝石の光学現象の中でも最も劇的なものの一つです。この変色がなぜ起きるのか、そして天然のアレキサンドライトをどう見分けるかを整理します。

代表

当店について

中村 葵

中村 葵

代表, 創業 2019

中村 葵、東京の大手宝飾商社で10年間、調達担当として勤務した後、2019年に京都・岡崎でResonant Stone Hollowを開業した。スリランカ、マダガスカル、ブラジルへの渡航経験を持ち、産地での石の選定を専門とする。前職では年間200点以上の原石調達を担当し、GIA(米国宝石学院)の修了資格を持つ。休日は岡崎疏水沿いを歩くことと、古い鉱物図鑑を集めることが習慣で、現在の蔵書は300冊を超える。「石の声を聞くには、まず自分が静かになる必要がある」が口癖。

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